「近江商人の三方よし」の考え方に基づき、会社の経営と個人の幸せを一緒になって考えます

(3)キャッシユ体質図の見方、事例によるキャッシュ体質図①【ファミリーマート】

キャッシユ体質図の見方

 「悪玉資産」と「善玉負債」はともに、一時点における1年以内の「現金等」の状態を表しており、これらを比較することで、一時点における1年以内の「現金等」の状態を知ることができます。
 「悪玉資産」が「善玉負債」よりも大きい場合、その差額分だけ「現金等」が不足し、いわゆる流動資金が不足しているとみることができるのです。
 一方、「脂肪資産」と「E資本」は一時点における1年を超える「現金等」の状態を表しており、これらを比較することで、一時点における1年を超える「現金等」の状態を知ることができます。
 「脂肪資産」が「E資本」よりも大きい場合、その差額分だけ「現金等」が不足し、いわゆる固定資金が不足しているとみることができます。
 次に、「現金等」と「有利子負債」を比較することになります。
 これは、すぐにでも使うことの出来る「現金等」と、弁済すべき借入金などの有利子負債を簡単に比較できることに、この図の特徴があるわけです。
 なお、「脂肪資産」の中身の配列が、「投資その他」・「無形固定資産」・「有形固定資産」となっています。
 これは、換金化し易い順に配列するためです。

 

事例によるキャッシュ体質図①

 2016年9月1日に、ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが、経営統合して「ユニー・ファミリーマートホールディングス」が発足しました。
 この統合により、店舗数では、業界首位のセブンイレブンに迫ることになるようです。

【ファミリーマート】
 図表2をみましょう。

図2

 これは、2015年2月決算の「キャッシュ体質図」です。
 
「悪玉資産」18%よりも「善玉負債」39%の方が大きいので、その差額分21%だけ「現金等」が余剰し、いわゆる流動資金が余剰しています。
 一方、「脂肪資産」65.1%が「E資本」61%よりも大きいので、その差額分4.1%だけ「現金等」が不足し、いわゆる固定資金が不足しています。
 
この結果、流動資金の余剰21%は、固定資金の不足4.1%と手持ちの「現金等」16.9%を賄っているのです。
 なお、図表では、「有利子負債」が表現されておりませんが、有価証券報告書の注記によれば、『短期借入金及び1年以内に返済予定の長期借入金は、連結貸借対照表上流動負債の「その他」に含めて表示』し、『長期借入金は、連結貸借対照表上固定負債の「その他」に含めて表示』しているようです。
 この有利子負債の割合は約2%なので、「現金等」16.9%と比較すれば、実質無借金の体質となります。
 
このため、ファミリーマートは、資金繰り上の安全性に問題はありません。
 
次に、「キャッシュ体質図」を時系列にみてみましょう。
 
これにより、「現金等」の調達と運用のトレンドがわかるので、企業が目指している方向が推測できるのです。
 図表2のAとA`ラインの構成割合を、時系列でみてみましょう。
 
図表3、4をみてください。

 図3 図4

 「脂肪資産」の割合は年々多くなっていることや「現金等」の割合は年々少なくなっていることがわかります。
 一方、「善玉負債」と「E資本」の割合は、ほとんど変化がありません。
 有価証券報告書によれば、「脂肪資産」では、有形固定資産が2011年決算では73165百万円、2012年決算では90175百万円、2013年決算では109154百万円、2014年決算では、147230百万円、2015年決算では193561百万円と、年々増加しています。
 一方、「現金等」では、2013年決算時に51080百万円あった有価証券が、2014年決算では20398百万円となり、2015年決算では9699百万円と減少しています。
 ファミリーマートは、有価証券を売却して、有形固定資産を取得しているトレンドを推測することができます。
 この推測の是非は、その後、CF計算書や事業概要等で確認すべきところですが、「キャッシュ体質図」の役目は、時には推測・想像も入れながら、大局的に実態を掴むことにあります。

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